今回は、ミクロ・マネジメントの最終講義として、生命体の共通の原動力であるひとつのエネルギー資源について解説をさせていただきます。
エネルギー資源を生成する際の2つの回路の特徴についても言及しますので、食生活、生活習慣のデザインに活かしていただけますと幸いです。
動画講義
ミトコンドリアを活性化させるために
ミトコンドリア回路を活性化させるために、良いとされているものがいくつかあります。
といっても特別なことは特になく、一般的に「健康に良い」とされているものなので、これまでの講義の内容を踏まえて、日々の生活に組み込んでいただけると良いかと思います。
・運動、マッサージ、日光浴などの適度な刺激(ストレス)
・息が軽く上がるような有酸素運動
・軽い断食、飢餓状態(オートファジー)
・必要十分な睡眠
また、ミトコンドリアを活性化させるための栄養素もいくつかわかっているものがあります。
・活性酸素から守るためのビタミン群(ビタミンBを中心)
・ミネラル(マグネシウム、鉄、カルシウムなど)
・ミネラル(αリポ酸、L-カルニチン、コエンザイムQ10など)
私自身は、現在カロリー消費が激しい生活をしているため、マルチミネラルに加えて、上記のミネラルを含んだサプリメントを複数種類服用していますが、健康的な食事や運動、睡眠が取れているなら、特に必要は無いと思います。
GI値について
糖質を摂取するに当たり、GI値を気にされている方もいると思います。
GI値とは、糖質を摂取して2時間以内の血液を採取し、その糖濃度を数値化したもので、GI値が低いほど、血糖値をあげる速度が遅く、解糖系に対する負担が少ないと考えられています。
一般的な炭水化物食品では、白米や食パンなどの白色の食品は、高GI食品に当たることが多く、全粒粉や玄米などの茶色の食品は、低GI食品に当たることが多いため、後者が勧められますが、低GI食品でも、相性によって別の問題がおこります(消化負担や食べ合わせ)ので、身体と相談するという視点を第一に優先することが重要だと思います。
酸素を克服したミトコンドリアの歴史
現在、細胞内に小器官として存在するミトコンドリアは、もともと独立したひとつの細菌(バクテリア)だったと考えられています。
古代の地球は、火星や金星と同様に、大気中には酸素がほとんど存在せず、二酸化炭素が96%を占めていたそうですが、27億年前に光合成をおこなうシロノバクテリアが発生したことで、大気中に大量の酸素が放出され、ほとんどの生物が死滅したと言われています。
酸素は、触れたものを老化(酸化)させ、死に追いやる猛毒なので、古代の生物は、酸素で満たされた地上には住むことができず、海の底に住み、無酸素でATPを生み出す解糖系で生きていましたが、我々の祖先(原核細胞)は、酸素をエネルギーに変えることができるミトコンドリアと共生したことによって、酸素を克服し、陸に上がることができ、寿命を持つようになったと考えられています。
余談ですが、オコゼやアンコウ、カレイという海底に住む白身の魚は、無酸素でATPを生産できる解糖系を主に使って泳いでおり、逆に、マグロのような赤身の魚は、主に酸素を使ったミトコンドリア系でエネルギーを生みだすため、海水中の酸素を取り込むために泳ぎ続けていると考えられています。
※泳ぐのを止めたら酸欠になって、ミトコンドリア回路が使えなくなるため
本当に、宇宙は神秘で溢れていますよね。

細胞内に共存するミトコンドリア





