今回は、文章構成を考えるに際に有効な「読者が抱える心理障壁」について解説をします。
私自身、2006年に学んで以来、実に15年以上、執筆から映像制作まで、あらゆる創作活動の場で参考にしているほど重宝しています。
第1の壁:反応してしまう言葉(対称性)
認知言語学の世界が明らかにした「人は差分にしか反応できない」という特徴を踏まえると、コントラスト(ギャップ)のある言葉は、人が反応してしまう言葉のひとつになります。
たとえば、皆が常識だと思っていることと真逆の言葉や、通常ではあり得ない言葉の組み合わせなどは有効です。
ベストセラーに名を連ねる書籍のタイトルには、この対称性を意識した名前により、第一の壁を越えているものがあります。

私も記事を書く際には、「ぴえん超えてぱおんな醤油」とか、「エマ・ワトソンとバーボンを」など、アイキャッチを意識しています。
第1の壁:反応してしまう言葉(具体性)
大勢の人に当てはまる抽象的な言葉ではなく、特定の個人に向けた具体的な言葉には、人は反応してしまいます。
たとえば、「オーパス・ワン」や「ムートン・ロートシルト」という言葉を聞いて、ピンとくる人が多くないと思いますが、ワインが好きな人物には必ず刺さる言葉です。
読み手の属性がある程度絞れているなら、その層にだけ通用する言語を使うことは、読まない壁を越える上では有効です。
若者に向けて書くなら、若者のスラングを使い、地方の方に向けて書くなら方言を使うと、アイキャッチになります。
第1の壁:反応してしまう言葉(事前リサーチ)
アイキャッチとなる言葉を選ぶことは、執筆において最も重要な工程であり、成果に与える影響も最大になります。
そのためタイトルや冒頭の文章は、いきなり書き始めるのではなく、それ以外の全ての文章を作成した後、最も強烈で記憶に残る言葉を最後に選ぶ。というのが正しい順番になるかと思います。
また最終的に選ばれる言葉の質は、それまでにどれだけの候補を捨ててきたかという量に依存しますので、言葉を膨大に書き出すことが推奨されています。
20歳年上の男性に対して執筆をするなら、その世代の男性が何を好み、何に怯え、何を欲しているのかを知るための調査(疑似体験)が出来ると、彼らに刺さる言葉を見つけることができるでしょう。
林檎のようなアイキャッチを
林檎は、なぜ色鮮やかで、目立つ赤色をしているのだろう。
林檎の生存理由は、第一には「種の保存」があり、そのために種を広げる必要があるため、彼らは動物(主に鳥)に食べてもらうことを求めているはずだ。
実が付き始める頃、色は青く、香りも無く、味も不味いが、種を蒔く準備が整うと真っ赤に熟し、香りを発し、美味しくなる。
紅の「色」によって認知の壁を越え、甘い香りによって信用の越え、美味しい味によって行動の壁を越えているのだろう。
つまり何が言いたいのかというと、文章の冒頭やタイトル、冒頭の一文では、真っ赤に実った林檎のように、アイキャッチを意識しよう。ということ。






