概念のフィルター、分節化

今回は、人間の認知機構について解説させていただきます。

動画講義

補足1:物理的に観えていない可能性がある

今回、動画でお話させていただいた内容は、概念のフィルターが雑だと、視覚や聴覚で捉えた情報を、認識できない(注意を払えない)という文脈でお伝えしましたが、実際に観えていない場合さえもあります。

たとえば、虹の色は何色か?と聞かれたときに、日本人の多くは7色と答えるでしょう。

それは、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫という概念の基、教育を受けているからです。

しかし、アメリカでは、藍を除いた6色で語られることが多く、ドイツでは、さらに紫を除いた5色で語られることが一般的です。

国や地域によっては、4色、3色、2色(明と暗)で語られる地域さえもあります。

何より興味深いのが、工学スペクトル的に、赤から紫(赤外線→紫外線)に向かって変化するはずの色の順番が、違った定義になっていたとしても、その概念を身に付けた人の眼には、その間違った順番の色に(実際に)見えているということです。

 

補足2:ワイン・テイスティングは、知性を伸ばす

イェール大学の神経科学者、Gordon M. Shepherd博士は、Neuroenologyという書籍の中で、ワイン・テイスティングは、脳を活性化させ、知的パフォーマンスを高めると言い、

「ワインの分子そのものには、味や風味はなく、脳を刺激することで、色を認識するときと同じ仕組みで、風味が生み出される。つまり、ワインの味は、人間の脳で作られる(定義される)」と記しています。

誇張抜きに、概念のフィルターが緻密な人にとっては、色鮮やかな世界でも、概念のフィルターが雑い人には、白黒のモノトーンの世界に観えているのかもしれません。

1杯のワイン、1回の食事から、少しでも多くの解釈を得て、色鮮やかな世界の住人を目指していきましょう。

 

時代的な背景を考えると、縦軸を育むことの方がより重要

概念のフィルターを増やすためには、縦軸(解釈)と、横軸(経験)が重要だとお話させていただきましたが、現代の情報化社会においては、縦軸を育むことがより重要になってきます。

つまり、たくさん本を読むことよりも、1冊の本を丁寧に読むことの方が重要だし、たくさんのノウハウを知ることよりも、1つのノウハウを追及するべきだし、面白さを他に求める努力をするよりも、面白さを見出す努力をした方が良い。ということです。

これは、ひとつの重要なテーゼです。

MENTAL:精神を高める講義