2021-10-23

とりあえず、ハンドガンから始めよう

先日行われた銃撃戦において、大した仕事をしなかったからだろうか、私は魔術師からお呼び出しをくらった。

なんでも最近の彼は「定めた目標を射抜く」ために、弓道やアーチェリー、銃術を学んでいるようで、「今回基礎から伝授しよう」ということであった。

どのような格好が相応しいのかわからなかったため、私は便宜的にジェームス・ボンドが愛用していそうな英国のスーツで伺うことにした。

本日は、魔術師の邸宅で行われた射撃訓練の様子をお伝えしよう。

「とりあえず、最もプリミティブなハンドガンから始めよう。」と彼は言い、まるで紅茶の飲み比べでもするかのように20丁を超える銃を用意し始めた。

ずらりと並ぶ兵器を見て、「これから首相官邸でも襲撃するつもりなのか」と心配したが、装填される弾が土に還るBB弾だったので、ひとまずは安心した。

念のため断っておくと、彼の本職は暗殺者でもスパイでもなく、善良な投資家であり、拳銃はひとつの研究対象に過ぎない。

それでも部屋を圧迫するほど収集癖があるのは、彼が抱える恒常的な問題のひとつである。

惜しみなく資本が投下された魔術師のコレクションは、精巧な品が揃えられていた。

そのため私は、銃の特徴を手で触れながら確認することができ、それぞれが全く異なるのだと実感した。

たとえば、日本警察が所有する「ニューナンブM60」は、短い銃身により照準が定まりにくく、銃弾も5発までしか入らないため、人を殺めるのは極めて難しいだろうと予想がついた。

あるいはイタリアのベレッタは、アルファロメオを思わせる洒落たデザインをしており、ワルサーPPKは、ドイツの職人らしい実直で重厚な作りをしていた。

数ある中で私が最も気に入ったのは、護身用の「デリンジャー」だ。

2発の銃弾が収まるこの銃は、ポケットやブーツに仕込むのにちょうどよく、女スパイが好みそうな色気があった。

私は「スカーレット・ヨハンスンのようなスパイに、デリンジャーで命を奪われるなら文句は言えないな」と思った。

さて、座学の時間は終わったので、射撃訓練をはじめようか。

おたより

ご存じの通り、館主は偏屈で気難しい人物である。

おそらく友達が少ないため申請してあげると喜ぶに違いない。

館主が集めた「叡智の結晶」は、Youtubeでも公開している。

ぜひ一度覗いてみてはいかがだろうか。

関連記事

Leave a Reply to 雄貴 Cancel reply

メールアドレスは公開されません

コメント13件

  • 亜也可.ayaka says:

    定めた目標を射抜くために行うアーチェリーや弓道、そして今回の銃術。
    その誘いにこたえるのはジェームズボンド的英国スーツ。
    異次元と異世界が混じり合って、流石ですねとしか言葉が出てきませんでした。

    紅茶の飲み比べすらした事がないので、20丁ものハンドガンを試すのはどれくらいの体力と集中力がいるのか想像できませんが、的に当たった時の爽快感をやハンドガンの体への衝撃などなどぜひ味わってみたいです。
    (そんな簡単に的には当たらないでしょうが…)

    それぞれの国の銃も写真で見てみましたが、美しさすら感じる見た目に驚きました。
    今までどんなスパイ映画を観ていても銃そのものに注目してこなかったのを後悔しています。

    わたしもタキシードを着たダニエル・クレイグから狙われるならそんなに悪くないなんて思います。
    実際に狙われたらきっとそんな気持ちは木っ端微塵に吹き飛ぶでしょうが。

  • 琴美✈︎kotomi says:

    Kさん、いつも素敵な記事をありがとうございます。

    ニセものとは言え、日本で生まれ育った者にとって「銃」はなかなか縁遠い存在だと思っていましたが、魔術師さんは研究対象としていらっしゃるんですね!

    定めた目標を正確に射抜く為には技術はもちろん、集中力や忍耐、武士道の様な精神さえ必要な気がします。

    部屋を圧迫する程のコレクション、それ程魔術師さんが追求と没頭しているという証なんでしょうね。

    いつか機会があれば銃術にも是非触れてみたいです。

  • ちなみ says:

    Kさん、今回も素敵な記事をシェアして頂きありがとうございます!

    Kさんが射撃訓練をされているお姿に驚きでした。

    デリンジャーという銃があるのですね。
    とてもコンパクトな銃ですね。
    日本ではあまり見慣れないですが、
    海外だと護身用で銃を持たれるご自宅も
    多いとお聞きしています。

    魔術師さんのお宅に私もお伺いさせて頂きたいなと思いました。

    今回もありがとうございました!

  • 貴明 Takaaki says:

    Kさん、おはようございます。
    記事を拝見させていただきました。

    ご友人の魔術師さんは素敵な考えを持っている方なのですね。定めた目標を射抜くために射撃に関することを種類問わずに学んでいることから、共通することがわかりそうです。

    私が目指しているもののから同じジャンルのものがいくつも考えられます。新しい刺激を得るためにそれに触れてみるとより達成しやすくなるかもしれないですね。

    射撃動画を見ているとどうやら私が知っているハンドガンとは全く違うようです。射撃音が本物のように重く、薬莢が落ちたような音もさらにリアルさを感じます。このような銃撃音が飛び交う中にいるとなると怖くて動けないですね。

    今回もありがとうございました。
    これからも楽しみにしています。

  • mitsue says:

    Kさん、おはようございます☁

    ただただ魔術師さんのコレクションに圧倒されました!!
    このようにたくさんの種類があるのですね☆彡
    どれもカッコイイの一言しか浮かばないのは私が無知であるからなのですが…
    コレクターにとってはたまらない光景でしょうね(^^♪

    射撃訓練の動画のKさんは、後ろ姿で「楽しい♪♪」と語っているようです♥
    いつまでも子供の心を持ち続けているKさんと魔術師さんが眩しいです☀

    本日も素敵な共有ありがとうございました。
    次も楽しみにしています。

  • makiko1008 says:

    Kさん、魔術師さん家での射撃訓練の様子
    共有頂きありがとうございます!

    デリンジャー、可愛いですね!
    魅了されました!

    そしてBB弾が懐かしいです。
    昔拾い集めていたのを思い出しました!

    Kさんの射撃姿、かっこ良かったです!
    私も射撃にハマりそうです。

    次回の記事も楽しみにしています。
    ありがとうございました!

  • ショウ says:

    いきなりの実践投入をされれば誰でもそうなってしまうものだと思いますし、やっぱり基礎って大事ですね。

    魔術師様の揃え方はほんとにすごいものだと思います。
    一般的に見れば常軌を逸脱しているのかもしれないですが、研究するってなるとそのぐらいになると思います。

    短期間で一つのものごとを習得するのは理想的だと思います。

    また誰でもすぐにそんな環境があるわけではないので、とても楽しそうだなと思いました。

  • 雄貴 says:

    Kさん、こんにちは。
    今回も興味深い記事を有難うございます!

    次は拳銃なんですね。。
    ちょっと次元が違いすぎて焦りました。

    ただ、「定めた目標を射抜く」ために、弓道やアーチェリー、銃術を学ぶ事で、目標達成のために愚直に追求し続ける在り方を身に付けられそうだと思いました。

    BB弾とはいえ、一度は触ってみたいです。

    次回も楽しみにしています。

  • なかむぅら(中村) says:

    今回も素敵な記事をありがとうございます。
    銃には、何か人を惹き付ける魅力がありますよね。
    それぞれの個性や機能美は、目的さえ間違わなければ、相棒になり得る存在だと思います。
    私も学生の頃には、近くの山で仲間とBB弾の銃でサバイバルゲームを繰り広げました。あの時のワクワク感は今でも忘れられません。
    私も是非、その素敵なコレクションを拝見したいものです。

  • Yusei says:

    BB弾懐かしいです!
    たしか私が中学生の時に流行っていたような気がします。

    新しい体験をするとワクワクしますよね。
    射撃訓練楽しみですね。

  • 真里 says:

    Kさん、素敵な経験をシェア頂きありがとうございます!
    かの魔術師の邸宅、日本とは思えないお住いなのでしょうね。泥棒が魔術師のコレクションを見たら血相替えて逃げ出しそうです。
    ヤバい家に入ったなと。笑

    日本警察の銃はあえて人を打ちにくくしているの事が分かりますね。銃を研究する事で、それぞれの国の警察の在り方が分かりそうでワクワクしました!

    実際の射撃訓練の様子までシェア頂き感激です!作りは精巧でも所詮おもちゃ、と思いきや、音が本格的過ぎるしなんか飛んでる音がしませんか?!BB弾、ですよね?本物じゃないですよね?
    訓練結果のお話も楽しみにしております。

  • りゅうき says:

    Kさん、素敵な記事をありがとうございます!

    先日の銃撃戦の後に、このお話はとても素敵ですね。
    実際にいろんな銃があり、それぞれの形状や造られた場所からどんな用途かを分析し、実際に試してみるこの流れは、とてもいいなと思いました。

    小さい頃にエアガンで無邪気に打ち合っていた頃を思い出しました。
    また無邪気にやりたいなと。

    次の記事も楽しみにしています。
    ありがとうございました!

  • 留莉 says:

    Kさんが銃を打っているお姿に衝撃が走りました。

    まさかの魔術師さんからの呼び出しをくらうとは!
    仲の良さもうかがえるエピソードで勝手に微笑ましく口角吊り上げながら読ませていただきました!

    こんなにびっしり銃が揃っているお家、首相官邸でも襲撃するのかと心配してしまうのも無理がありませんね。

    さっそく練習できる環境が整っていることに感銘を受けました。

    手に取るとひとつひとつ感覚が違うことを肌で感じられるのはその環境の賜物ですね。

    お写真の銃、スタイリッシュでかっこいいです✨

    初めて聞く単語ばかりでまたひとつ世界が広がりました。今回も貴重な体験の共有をありがとうございます!