2022-01-06

魔法のランプに火を灯そう

私が毎日通うアトリエは築134年の木造建造で、美しさの代償として、神からの嫉妬かと思うほど冬はよく冷える。

そのため多少の暖房では何の援護にもならず、たとえば電気ストーブ程度の熱では、怒り狂う雄牛を相手にとんかちで挑むようなものである。

かといって天井に埋め込む類のヒーターもレトロな雰囲気には合わず、この暖房問題が我々の頭を悩ましていた。

しかし先日、ひと目見ただけで誰もが納得し、拍手喝采、スタンディングオベーションが起こるような完璧な暖炉を見つけ、そのまま6台も購入したため、本日はそれをご紹介させていただきたい。

アラジンの石油ランプ「ブルー・フレーム・ヒーター」。

初めて販売されてから約90年間、殆ど型が変わらない普遍的なランプで、優れたデザインは時代を超えても変える必要がないことを体現した稀有な作品である。

灯油由来の香りが心地よく、湿度を保ったまま温かい空気が対流するため、冬に起こる問題の殆ど全てがこれ一台で解消されるのだ。

もちろん火の元には細心の注意を払う必要があるが、その姿があまりに美しいため、目を離す気さえ起こらない。

「わざわざ蓋を開けて、芯に着火をするなんて面倒だ」というご意見も解らなくはないが、これでも石器時代から比べれば随分と楽になったのだから、ご勘弁して頂きたい。

逆に面倒見が良い方にとっては、たまらなく愛着が湧くだろう。

なぜなら、アラジンの魔法のランプは手入れによって機嫌が変わるのだから。

芯を整えていれば、ムラなく気化された灯油が酸素と理想的な配合で混ざり、完全燃焼による青い炎を灯すが、世話を怠れば反抗期の中学生のような燃え方をする。

火の立ち方が荒れているなら、それはすなわち、モノに対する接し方が乱れているということであり、立ち止まって身の回りを整えなければならない。

生涯お付き合いしたいと思えるモノに出逢えるのは、涙が出るほど素晴らしいことだ。

冬の朝はオイルを補給し、芯を磨いて、魔法のランプに火を灯そう。

おたより

ご存じの通り、館主は偏屈で気難しい人物である。

おそらく友達が少ないため申請してあげると喜ぶに違いない。

館主が集めた「叡智の結晶」は、Youtubeでも公開している。

ぜひ一度覗いてみてはいかがだろうか。

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コメント13件

  • 細野義貴 says:

    Shouさん、いつも素敵な投稿をありがとうございます❗
    魔法のランプ、デザインといい趣といい素敵ですね☺️
    手間がかかるところが、また愛着が湧きますね☺️
    このような素敵な品物を置く場所があるShouさんはまた、素敵です❗

  • 亜也可.ayaka says:

    心躍る題名に、思わず笑顔が溢れました。
    誰もが一度は魔法のランプを使ってみたいなぁなんて思ったことがあるのではないかと思いますが、大人になってからそれが叶うとは。

    洋館と魔法のランプ、そこから見える青い炎の組み合わせは、レトロな雰囲気がぐっと深まって不思議な懐かしさを感じます。

    暖をとるだけではなく、使う人を心身ともに日々整えてくれる素敵なcodawariアイテムに、わたしも思わず3台ほどお出迎えしたくなりました。

    このランプを大切にする人へは、きっと素敵な魔法をかけてくれるんだろうなぁと思います。

  • 雄貴 says:

    Shouさん、こんにちは。

    先日異人館に伺った際に、このランプが置いてある部屋と無い部屋の空調の違いは身をもって体感しているので、

    90年間愛され続けている理由がよくわかります。

    このランプとともに異人館で1日過ごせば、クリエイティブな思考になれそうです。

  • Nobutoshi says:

    このアトリエに似合う暖炉はこれしかない。といった風貌なランプですね。

    手間だから愛着が湧く。
    というのは子育てみたいなものですね。

    多少問題起こす方が「しょうがないあなぁ」
    っていう気持ちになります。

    最近は問題を起こさない物ばかりで優等生すぎるんですよね。

    たたけば立ち直るテレビやすぐデータ消えるファミコンは思い出深い。

    本日も自分にとっての非日常をありがとうございます。

  • MINORU SHIBATA says:

    90年もの間、デザインがほとんど変わらないランプというのは、とても素敵で作者のCodawariが詰まった芸術品ですね。
    とてもアトリエに合ってると思いました。

    アトリエの中で自動着火の「カチッ」という音で火を付けようものなら、雰囲気が損なわれてしまい、感覚的に寒くなってしまうので、蓋を上げて芯に火を付けて「ボッ」という音で着火するほうが、そちらのアトリエの雰囲気に合っていると感じました。

  • 洋二  says:

    Shouさん、おはようございます。
    「美しさの代償として、神からの嫉妬かと思うほど冬はよく冷える」「怒り狂う雄牛を相手に、チワワと共に挑むような」冒頭から惚れ惚れする比喩表現の連続パンチで、たちまちCodawari ワールドに引き摺り込まれました。

    アラジンの石油ランプは私が小学生の頃、実家でも使っていたので、とても懐かしく拝見しました。火をつける際に、本体をパカっと大胆に開け、横倒しにして点火するのが何かの儀式のようで、子供ながら神聖な気持ちで見ていました。

    またランプの上にはいつもやかんが置かれ、白い蒸気が立ち上っている状態だったので乾燥を気にすることもありませんでした。スイッチひとつで簡単に作動できる空調は便利なようですが、やはり乾燥が大敵です。加湿器を導入したり、保湿クリームを塗ったりと結局余分な手間がかかってしまいます。

    暖房効率がよく、乾燥知らずで、インテリアとしても秀逸、さらに郷愁を誘われる石油ランプが機能的にも趣味的にも優れていますね!

  • mitsue says:

    Shouさん、こんにちは。

    本日も寒い一日になりそうだなと思っていたところに暖かくなりそうなアイテムのご紹介ありがとうございます。

    形は昔懐かしい感じで嬉しくなります。
    色は現代風で素敵です☆彡

    6台の購入にはびっくりしましたが、ところどころに置かれているのを想像するだけで暖かくなります。

    私もアトリエにぴったりとくるデザインだと思いました。
    その空間にしばらく浸っていたいと思う安心感♥

    是非、お邪魔して確認したいものです✰✰✰

    本日も素敵なお話ありがとうございます。
    次回も楽しみにしています♪♪

  • naoto0522 says:

    Shouさん、おはようございます!
    私の住む軽井沢も冬は段をとる手段に悩まされます…CM等で紹介される電気ヒーターでは正直役に立たないからです笑

    アラジンはストーブテーブルなども含めて
    私も愛用しておりますが、6台購入には驚き、心がホッコリしました。

    アラジストーブの上で炊くおでんやポトフは絶品です笑

    ありがとうございました。

  • Yusei says:

    素敵な魔法のランプですね!

    確かにここ最近は異常な寒さでした。

    心も身体も温まりそうです。

  • 真里 says:

    Shouさん、素敵なアイテムのご紹介をありがとうございます!
    綺麗な薔薇にはトゲがあるように、美しい洋館にもそんな弱点があったのですね。逆に夏は涼しそうなので今から楽しみではありますが、今はそんな悠長なことを言っていたら室内で凍傷になりかねないですね。

    ランプで本当に暖かいのか?と思いましたが、身長3m位の人がランプとして活用しそうな大きさでしたね!レトロなフォルムと褪せたような色合いのブルーが洋館にマッチしています!

    現物を見るのが楽しみです。

  • ゆうこ says:

    Shouさん
    6台もご購入されたのですね!!

    一手間が生活の質をぐぐっと上げることを、
    昨年からコダワリblogで学ばせて頂いてます。

    スピードを重視しすぎると
    大切なものを見落としてしまう様な気がします。

    寒いうちにストーブにあたりに行きたいですね。

  • Takako says:

    Shouさんこんばんは。
    90年も姿が変わらないとは思えぬ程のデザインですね。
    まるでアトリエに最初から備え付けてあったかのようにしっくりきていますね。
    物を手入れすることで、自分にゆとりを持てているのか?自分を愛でているのか?の指標になるのだと思います。
    心を整える為にも、訪れた方にはもれなくランプのお手入れ体験を付けるとよろしいのでは無いでしょうか。

  • りゅうき says:

    Shouさんこんばんは!

    今日はたまたま夜遅くまで起きていたので、早く記事が見れました!

    暖炉を見つけ、6台購入したと見た時思わずニヤてしまいました。
    そんなに買うほど心躍ったのですね。

    しかも蓋を開けて点火するという現代の利便性を求めるものとはかけ離れたものですね。

    一度付けに神戸に行きたいです。

    次も楽しみにしています!