2021-05-28

生き返った経験がある者を、再び蘇らせることは出来ない

あなたが、最期に一目惚れをしたのはいつだろうか?

触れるもの全てが新鮮な若い頃ならいざ知らず、知識や経験を身に付けた大人が一目で恋に落ちる機会は多くないだろう。

しかし人間は、【美】を求める生き物である。

魂が震えるような美に触れるとどんな状況でも身体が反応してしまうものだ。

私がメルボルンの街角で運命的な出逢いを果たした日も、約束の時間に遅れ急いで向かっている最中だったが、突然、死後硬直のように身体は固まり、口の中が渇き小刻みに手が震えた。

ある店のショーケースに並んだ【塩】が、あまりに美しかったのだ。

私の心を奪ったRivsalt(リヴソルト)のグレーターと岩塩。

鮫皮で山葵をおろすように。あるいは、サマートリュフをスライスするように、食べる直前に削る塩である。

産地の異なる6つの岩塩はまるで宝石のようで、ここに緑の石が揃えば空から神龍が降りてきて願いを3つばかり叶えてくれそうである。

ただし、一度生き返った経験がある者を、再び蘇らせることは出来ないので、その点には注意していただきたい。

我が家の食卓には、テイスト・ジュニア・セットを採用している。

インド、パキスタン、ボリビア、オーストリア、イランより仕入れた岩塩のセットだ。

つくづく思うのだが、昔、西の貴族がやっていたであろう食生活を、東の庶民が味わっていると思うと、いささか文明が発展しすぎている気がする。

大王様、こちらは2億5千年前の海が蒸発して得られた天然のヒマラヤ岩塩でございます。

マイルドなボディにスパイシーな味わい。羊肉に添えてご賞味くださいませ。

気の利いたシラーとグルナッシュのワインも、合わせてご用意しております。

忙しい現代だからこそ、食事中くらいは、テレビやスマートフォンから離れて、時間をかけて岩塩を削ってみてはいかがだろうか。

おたより

ご存じの通り、館主は偏屈で気難しい人物である。

おそらく友達が少ないため申請してあげると喜ぶに違いない。

館主が集めた「叡智の結晶」は、Youtubeでも公開している。

ぜひ一度覗いてみてはいかがだろうか。

 

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コメント27件

  • 洋二  says:

    Kさん、こんばんは。

    今回のブログは、まずこの仰々しいタイトルに驚きました。

    岩塩の話にどう繋がるのか、タネが明かされるまで、喉に引っ掛った魚の小骨のように気になって仕方ありませんでした。そして、緑の石から神龍へと発想が見事に展開されて解消された時の爽快感!最高でした。

    それにしてもこんなにカラフルな岩塩があることを初めて知りました。

    これらの色の違いはやはり構成されるミネラルの成分量によるのでしょうか。イメージ的には黒い岩塩は鉄分が、紫色はヨウ素が、オレンジ色は銅が多く含まれているように見えますが、実際はどうなんでしょう。

    いずれにせよ、気が遠くなるような年月をかけて作られた貴重な地球の調味料ですから、ゆっくり丁寧に味わいたいですね。

  • 玲奈 Reina says:

    Kさん

    いつも美しい記事をありがとうございます。

    梨絵さんからこちらの宝石を
    いただいたのですが本来に魅力的ですね。

    あまりにも魔力が強すぎるため、
    しばらく削れそうもありません。
    見惚れるだけで精一杯です。

    宝石を削るだけに集中する時間、
    なんて贅沢なのでしょう。

    味わうのが今からとても楽しみです。

  • 大海 says:

    Kさん、素敵な記事をありがとうございます。

    塩という文字を見れば、自然と頭の中に白色が浮かんでしまうため、この世にこんなカラフルな塩があるのか?と疑ってしまいます。

    読んでいるだけで僕世界が広がっていく記事を書いているKさんがおっしゃるのであれば、本当の話なのでしょう。

    これだけ美しい、宝石のような塩が6つも集まるのであれば、一度くらい例外を作っていただいてもよいのではないでしょうか。

  • ☆なが☆nagasan☆ says:

    前略

    Kさん、こんばんわ。

    大人になったからといって
    歳を重ねたからといって
    喜怒哀楽を出さない生き方は私も好きではないです。

    惚れるコトができる大人がカッコいいのであって
    少年少女の専売特許ではないコトに私も共感いたします。

    一目惚れできない人生ほど寂しいコトはないと私も思いますが
    今回の
    塩に対するKさんの惚れようには驚きを禁じ得ません。
    そもそも
    塩ほど人類に与えた影響は他の追随を許さないと私も思っていましたが
    塩を宝石と捉え厳しむ人は見たコトも聞いたコトもなかったです。

    たしかに塩田王と呼ばれる人は各地に存在していて
    塩を作る産業に関わる人すべてに富を与えているので
    宝石と同じ価値はあるのでしょう。

    Kさんが惚れるという様相を美しく語り伝えて下さったおかげで
    何に対しても好きなモノは好きと言葉と行動を示していきます。

    ありがとうございました。

    追伸
    Kさんの表現の仕方は独創性と芸術性を兼ね備えていて
    一目惚れしています(^_^ゞ
    コメントするのが楽しみで楽しみでしょうがないです。

    なが

  • 中田侑次郎 says:

    Kさん、こんにちは!

    「美しい塩」を初めて拝見しました!
    そもそも塩に美を求めたり、
    そのような視点で見たことがなかったので
    如何に私が狭い世界で
    生きていたのかを痛感いたしました。

    Codawariブログを毎日拝見することで
    毎日私の世界が広がっています!

    実際に触れたり経験できるように
    なりたいという思いが、
    また新たな原動力にもなっています!

    いつもありがとうございます!

  • ショウ says:

    一目惚れは小さいころは多かったかと思います。
    自分の心に正直だったようなそんな気がします。

    宝石のような岩塩は食卓を彩りますね。
    自分で削ってまでは食べたことはありません。

    宝石のようにキラキラとした目でこの世界を見ていけば
    きっと一目惚れするものばかりで溢れているのだと思います。

    まずはくすんだ自分の心を磨いていこうと思います。

  • 貴明 Takaaki says:

    Kさん、おはようございます。
    記事を拝見させていただきました。

    私でしたら見た目の美しい岩塩があれば食べることなくそのまま部屋に飾ってしまいそうです。

    岩塩をあえて自分の手で削るようにされているのは塩の重要性について考える時間を作るためか、美しい岩塩の塊を自分の手で形を整えたいと思われているからでしょうか。

    自分の手で削った岩塩の味は地球の歴史を感じるのでしょうね。今度私もやってみます。

    今回もありがとうございました。
    これからも楽しみにしています。

  • 早紀 says:

    Kさん

    一目惚れ、私たくさんあります。

    幼い頃のそれは
    お祭りの綿菓子やアザラシのぬいぐるみに始まり、
    浪漫を求め星座図鑑になり、
    今ではこだわりの食器や香水に、
    “私いつか絶対にここに行く!”
    とときめきと鼓動が止まらない程の
    迫力溢れる壮大な世界の絶景へ

    と、変移しております。

    その物や光景に直に触れて、
    創設の方がいらしたらその方からお話を聞いたりサイトを拝見し、
    いなければその物を届ける方からお話を聞き、

    あらゆる琴線に触れることで、
    こころの動きを感じます。

    山葵のように、食べる直前に削る…
    素敵すぎます。
    鉱石そのものの様な美しい姿は、
    収集癖が無い方ですら
    揃えて並べてみたくなるのではないでしょうか。
    お家にお迎えしたい一品です。

    本日も素敵な時間をありがとうございました。

  • ユカ says:

    Kさんこんばんは。

    世の中にはこんな素敵な岩塩があるのですね!
    おっしゃる通りまるで宝石のようで驚きました!!
    おしゃれ過ぎて…。

    西の貴族の食生活を東の庶民が味わっている。
    文明の発展には本当に感服です。

    Kさんの記事は毎度スクロールする度
    新しい世界を知れた気がしてワクワクします。
    次回の記事も楽しみにしています^^

  • 淳弥 says:

    これほどに色鮮やかな岩塩がある事を初めて知りました!

    本当に宝石のように美しいですね。

    産地によって味の違いもあるのでしょうか?

    料理がこの岩塩をかけると完成するところがまた良いですね。
    まるで魔法のスパイスのようです!

    今回も興味深い記事をありがとうございます!

  • 琴美✈︎kotomi says:

    ワーキングホリデーでオーストラリアに居たのに、こんな素敵な塩がある事すら知りませんでした。

    最近ミル付きのヒマラヤ岩塩を購入しましたが、塩にも沢山の種類があるんですね!

    目で見て舌や鼻で味や匂いを感じながら、削る時間も食事を楽しむ時間も時が経つのを忘れて夢中になりたいです。

  • ゆかり says:

    調味料がたくさんあるお家は、なんかゆとりがあるようなイメージがあります。

    ただ、その調味料ひとつひとつに本当にこだわっているかというと、そうではない事がほとんどでしょうね。
    私は、油は綿実油が好きで、ポン酢は旭ポン酢が好き、地元のものを愛用しています。それくらいです。

    "一目惚れ"でパッと思いついたのは、沖縄県渡嘉敷島の『海』ですね。
    ここで思い出をお話しするとキリがないのでやめておきますが、沖縄の塩も様々な種類があって面白いです。
    ただ、宝石のようなものは見たことがありません。

    旅に出たからこそ、出逢えたもの
    と思うと運命を感じますし、旅好きで良かったと思いますね。

  • Yusei says:

    とても美しい岩塩ですね。

    いつも同じ塩を使っているので
    「種類によって味わいや香りが変わるのか」
    試してみたいと感じました。

  • 雄貴 says:

    本当に宝石のように美しい岩塩ですね。

    こんなお塩で味付けをしていただく料理は、
    どんなにいい食材を使った高級料理よりも、
    シンプルで深い味わいになりそうです。

    塩にこだわりを加えることで、毎日の食卓の質を高めていきたいと思います。

  • 美保 says:

    「人間は美を求めるもの。」

    Kさんの記事やお写真から、それを求めて追求されていることを、とてもよく理解できます。

    一目惚れというのも、まだ美しさのフィルターが乱雑な場合と本当の美を見てきたのとでは大層な違いのあるものだと感じられました。

    Kさんの記事を通して、わたしも本心から惹かれる一目惚れのできる一人になりたいと思いました^^

  • Yuto Ueda says:

    毎度の事ながら、Codawariのポイントの着眼点がひと味もふた味も違いすぎます。
     
    食事に必須な塩。
    使用頻度が高いからこそ、手軽に得られるものを選んでしまいがちですが、
    そこをこだわらず、どこをこだわるのか。
    そんな感想を覚えました。

    緑の岩塩を揃えて、神龍に願いを唱えてみようか…

  • 真里 says:

    美しさを語るには余計な装飾は不要であると、この記事からのメッセージを受け取りました。現代人が西の貴族に岩塩一つで成れる事をだれが想像しただろうか?素晴らしいというよりもamazingという表現が適切です。つい先日地元では有名なステーキ店(ひのでグリル)に足を運びましたが、そこで炭入りの岩塩を提供されました。名前を覚えていないのが大変お恥ずかしいのですが、チップ状の岩塩のカリカリ食感と歯でほどける上に旨みの溢れた赤身肉の相性が恐ろしくバツグンでした。
    お肉料理に塩は欠かせませんね。

  • さよみ says:

    色んな色の岩塩をキッチンにお洒落として飾りたくもなります。その日の気分で岩塩の味や色を感じながら食べるのもその日がワクワクすると思います。料理を作るのが楽しみの一つにもなる様に感じました。

  • まれすけ says:

    天日塩も人の手で自然蒸留したものは、そこに作り手の想いやかけられた労力を感じてありがたくいただくのですが、岩塩は、大昔海だったところが、地殻変動によって持ち上げられ、何万年もかかって塩の結晶になるというところにロマンを感じます。
    この塩があれば、これを少しずつ舐めながらお酒飲めてしまいます。

  • りゅうき says:

    素敵な記事をありがとうございます。

    塩がこんなにも美しいものだというのは
    全くもって想像もしていませんでした。

    塩なんてとりあえずなんでもいい
    そんな考えでした。

    塩という一つの調味料ですが
    そこをCodawariきれる人間になりたい。

    こんなにも美しい塩があったら
    毎回の食事が楽しくて仕方ないだろう。

  • 中澤華奈 says:

    思わず魅入ってしまう程に美しいですね!
    本当に宝石のようなフォルムの塩。

    直前に削って食べる。

    凄く至福の時、空間をも味わえそうです!

    私も是非とも挑戦したいです!

  • 若菜 says:

    本当に宝石のように美しい、悠久の時を閉じ込めたような岩塩ですね。。

    数億年前の塩の塊を見つけ、それを商売にしようと思った人間達。
    宝石を扱うが如くアドレナリンが出まくったことでしょう。

    かなおろしはグレーターという呼ぶのですね。。
    今度大根をおろしながら手元にある、いつぞや旧友から贈られたどこのものかも分からない謎の岩塩をおろしてみたいと思います。

  • 石黒知行 says:

    地球創生、悠久の浪漫が封じ込められた
    天然岩塩に魅せられることは、
    私たちが本能的に、そして掛け値なしに
    宝石「そのもの」へ抱く感情と
    共通しているのでしょう

    しかし、
    宝石を掛け値なしに「感じる」ことなんて
    到底出来ない私のような凡人にとっては、
    天然岩塩なぞ正に、太古へ誘うパワーストーン
    たり得るのかもしれませんね

    今度トンカツ屋さんで削る前に、
    彼らに問いかけてみたいと思います
    (隣の人がやってたら、きっと席替えしますが)

  • かな says:

    ピンクの岩塩は見たことがありますが、紫や黒の岩塩は初めて見ました。
    確かに天然石のように美しいですね✩.*˚
    最後に一目惚れした物は、台湾に行ったときに布市場で見た豪華絢爛な絹織物です✨
    裁縫も出来ないのに毎年欲しいだけ買い漁ってクローゼットがキラキラしています✨✨
    何かに惚れ込むって、とても素敵なことですね!

  • shingo says:

    宝石かと思うぐらいの
    とても綺麗な色に感動しました。

    そして、

    「食べる直前に削る塩」

    「塩を削るという発想」

    がそもそもパンドラの箱を開けるくらい
    未知の領域なので、ガリガリと削りながら
    食に集中して、優雅なひとときを過ごしたいです。

  • MAKO says:

    一目惚れをした大切なものだからこそ、ひと手間かけて味わいたい。

    大切なことを教えてくれるお相手だからこそ、テレビやスマートフォンから離れて、

    時間をかけたいと思えました。

  • 貴子 says:

    思わず目が釘漬けになってしまいました。

    本日も素敵な世界へのご案内ありがとうございます。

    岩塩はピンク色のヒマラヤ岩塩なら持っておりますが、産地や地層によって青色、桃白色、鮮紅色、紫色、黄色などの様々な色があるのですね。まさに宝石。

    食卓に宝石を並べて味わう食事はまた格別なことでしょうね。

    2億5千年前の海を想像して頂きたく思います。