2022-01-06

オリーブ・オイルは飲みものですから

世界には、凡そ人知を超えた神秘が存在する。

ここ数年、私にとっては植物(とりわけ葡萄)がその研究対象であったが、先日、大変お世話になっているお医者様より、オリーブ・オイルの贈り物をいただき、オリーブという植物にも心から魅了されてしまった。

オリーブと訊くと、即座に速水もこみちを連想する方も少なくないと思うが、人類史において、ローマ帝国における三種の神器(ワイン、パン、オリーブ)に命名され、黄金に匹敵すると言われた崇高なものなのだ。

本日は、敬愛する紳士からのオリーブ・オイルをご紹介しよう。

イタリア・アヴェッリーノ地区の土着品種を使った早摘みのオリーブ・オイル「FAM」。

2000年に入り、早摘みオリーブの香り高さに気付いたある農家が、その事実を世界に広めオリーブ産業に革命が起きたが、そんな前衛的な試みを愉しめる一本である。

お医者様からは「ボジョレーヌーヴォのようなオイルです」と添えられていたが、たしかにオリーブはワインとよく似ているように思う。

果実はテロワール(地勢)を実直に反映し、圧をかけて絞るだけで恵みが溢れてくる。多くのオイルは人工的に精製する必要があるのに対しオリーブには必要ない。保存する壺(アンフォラ)も同じである。なるほど確かに三種の神器である。

「オリーブ・オイルは飲み物」と以前もこみちが言っていた気がするので、彼の意見を尊重しシャルドネ・グラスでいただくことにした。

飛び跳ねるような若若しさに青草を思わせる苦味があり、初見は「反抗期のマルフォイみたいだな」と感じたが、空気に含ませるとバランスが整い奥行きのあるスパイシーさが心地よい。

視覚的にも青々しくエネルギッシュで、肌に塗ればみるみる若返り、頭皮に塗れば髪が生えてきそうなフレッシュな色調である。

比較のために熟したピクアル種のエキストラ・ヴァージンを用意した(右)。

色も香りも味わいも同じ食品とは思えないほど違っており、これまで一色淡に「オリーブ・オイル」と捉えていた自分の愚かさに気付かされた。

それはまるで、臆病なうさぎと最強の女子レスラーを「同じ霊長類ですから」といって一緒にするようなものである。


■ご案内

ご存じの通り、館主は偏屈で気難しい人物である。

おそらく友達が少ないため申請してあげると喜ぶに違いない。

館主が集めた「叡智の結晶」は、Youtubeでも公開している。

ぜひ一度覗いてみてはいかがだろうか。

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コメント17件

  • 亜也可.ayaka says:

    いつの頃からか日本でもオリーブオイルというものが一般的になりましたが、オリーブは黄金に匹敵するほどのものだったとは知りませんでした。
    そう思うともこみち氏が早くから目をつけていたのはなかなかすごいです。
    早摘みのオリーブオイルは意外と最近になって出てきたものだという事も驚きでした。

    春になって生えてきた青草を手でちぎって、そのまま口に突っ込んだみたいな味ですがそれが美味しいと思う人の味覚は面白いなと思います。(そう言うわたしも大好きです)

    オリーブオイルひとつとっても同じ食材から出来たとは思えない味の違いがあるのは、たしかにワインと似ていますね。
    今回もまた新しい視点をいただきました。

    (余談ですが以前アフリカの道端で売っているペットボトル(多分再利用)入りオリーブオイルをお土産でいただいた事を思い出しました。
    かなりドロッとしていて味は薬っぽいのですが、アフリカの方は実際に薬代わりにも使用しているとのことでした。)

  • 秀直 says:

    それ相応のステーキハウスやレストランでは必ずと言っていいほど先にパンが出てきて、オリーブオイルとニンニクを混ぜたソースが付いてきます。
    ニンニクの味が強くて美味しいのですが、この一品のオリーブオイルだけを塗って食べてみたいと思いました。
    確かに用途が色々とあって身体や頭に塗ったときの効果も絶大にような気がします。
    天然は偉大です。

  • Sota says:

    日頃よりお世話になっているオリーブオイル
    また、オリーブはお酒(ワインやビール)の摘みとしても万能で、

    オーストラリにいた当時は、よく当てとして(むしろメイン)チリとオリーブを漬けた
    グリーンオリーブにはお世話になってました。

    ご賞味あれ

  • 若菜 says:

    久しぶりの更新にワクワクしながら拝読させて頂きました。

    贈られたお医者様と先日お話しする機会がありましたがとても穏やかで素敵なお人柄だとお見受けしました。

    贈り物にもお人柄は現れるのでしょうね。
    まさにこだわりの一品に心踊りました。

    ワインとオリーブオイル、完成の過程も似ているのでしょう。

    今後の更新も楽しみにしています。

  • 雄貴 says:

    Shouさん、こんにちは。
    雄貴です。

    今回も独特すぎる表現が詰まった記事がとても面白かったです!

    最近体内に摂取するバターやオリーブオイルなどの油の質を高めたいと思っていたので、とても興味深い記事でした。

    エクストラバージンではあればどれも一緒

    みたいな感覚でしたが、
    改めてちゃんとオリーブのことを勉強したうえで、僕もこだわりの1本を見つけていきたいです。

  • Yusei says:

    私の場合、オリーブオイルは目玉焼きや炒め物をする際に、コストコで購入したスプレータイプのものを使用しています。
    サイゼリアのミラノ風ドリアを食べる際にも、オリーブオイルをかけて食べるとより美味しさが増している感じがします。

    『そのまま飲む』という発想はなかったですが、スプーン1杯ほど試飲してみようと思いました。

    素敵な記事をありがとうございます。

  • Nobutoshi says:

    オリーブ・オイル。
    自分の生活の中でこの単語は出てこないので興味深く見させていただきました。

    反抗期のマルフォイ。
    というので自分は断念しそうですが、良薬口に苦しと思えば悪くはなさそうです。

    もこみちはオリーブオイル大量に使ってたみたいですね(笑)

    本日も自分にとっての非日常をありがとうございます。

  • mitsue says:

    Shouさん、おはようございます。
    久しぶりの記事、ワクワクしながら拝読しました!

    私はオリーブオイルが好きで一時期何にでもかけていました。
    再度オリーブオイルにはまりそうです。

    私の住んでいる地方は地中海の気候と似ているということでオリーブ栽培をしています。
    フィギュアスケートの王冠に提供するなど頑張っているようです(笑)

    オリーブオイル抽出の体験やオリーブオイルを使った料理を食せるような場所もあるらしいです。
    いつでも行けると思うと行かないもので…。

    Shouさんの記事を読みオリーブオイルの魅力を堪能したくなりました。
    もう少し暖かくなったら足を運んでみようかと思います。

    素敵な記事をありがとうございました。
    一歩の行動に繋がります✰

  • 洋二  says:

    Shouさん、おはようございます。

    三月の私の目標として、毎日Codawari ブログのランキングURLのクリックをするとともにコメントをお送りするというのを掲げ、現在実践中です。お忙しい中、毎回丁寧に読んでくださり、ありがとうございます。とても励みになっています。また、オリーブオイルも記事に取り上げていただき、大変光栄です。

    私はオリーブオイル信者で、美味しくて身体にも良い油として、絶大な信頼を寄せています。
    我が家のキッチンにある食用油はオリーブオイルしかありません。揚げ物をはじめ、和食の煮物、カレー、餃子を焼く時など何にでもオリーブオイルを使います。

    そんなわけで、Shouさんへの手土産の条件
    1:消費でき、保管が楽なもの
    2:量は少なく、質は高く
    3:話題性ではなく、自分のこだわりを披露する
    にぴったりの品だと思い持参しました。

    それにしても、Shouさんの幅広い知識と、ものに対する掘り下げ方、絶妙な比喩表現には毎回感服しています。
    今回のオリーブオイルについても、私は人より知っているつもりでいましたが、まだまだ浅知恵だったと思い知らされました。

    これからも刺激的な記事を楽しみにしています。

    • Shou says:

      洋二さん、この度は素敵な贈り物を本当に有難うございました。
      実はオイルをいただくまではオリーブオイルに関する知識は殆どございませんでしたが、洋二さんからいただいたオイルが私の知っているものとはあまりに異なっていたので、興味を持ち勉強させていただきました。

      揚げ物に使うことには大変興味があるので、これから追求をしていきたいと思います。
      改めて素晴らしい出会いとキッカケをありがとうございます。

  • りゅうき says:

    オリーブオイルは体にいい。
    聞いたことはありましたが、オイル(油)を飲むなんてと思っていました。
    まだ飲んだことがないので、今度飲んで見たいと思います。

    また、オリーブオイルが三種の神器ということも初めて知りました。
    ワイン、パン、オリーブ。
    これ極めたら楽しそうです。

    次の記事も楽しみにしています!

  • 細野義貴 says:

    Shouさん、おはようございます。
    オリーブオイルは、体に良いオイルという認識はありましたが、その中でも極上のものなのですね。
    反抗期のマルフォイと、うさぎとレスラーの話など比喩も上手いなと思いました。
    マルフォイは分からないので、是非、教えていただきたいです。
    ありがとうございました!

  • 真里 says:

    Shouさん、素敵なアイテムをご紹介くださりありがとうございます。
    久々の更新にワクワクしました!
    オリーブオイルは身体に良いと聞いてから、お料理に活用しようと思い、サラダ油の代わりに使用していた時期がありましたが、”油”という括りでオリーブオイルを位置づけてしまった過去の自分に文末の言葉を送りたいです。

    読んでいるだけで、まるでその場にあるかのように体感出来るShouさんの魔法は本当に素敵です。次の記事も楽しみにしています。

  • Hiroaki0430 says:

    オリーブオイルに、エキストラバージンオイルという種類があるのは知っていたぐらいで、そこまで深く考えたことがなかったので、とても勉強になりました。

    FAMは、フローラさん、アントニオさん、マリアさんの三兄弟の頭文字なんですね。
    お父様マルチアーノさんから情熱を受け継いでいて、その情熱がオリーブオイルにも反映されてそうだなと、「反抗期のマルフォイ」に感じました。空気に含ませると味が変わるのも面白いですね。

    先日、コミュニケーションの講義から、パトスとロゴスを勉強させていただいたので、新たな視点でブログを拝見することができ、とても勉強になりました。

    新しいことの受け取り方も変わってきて大変面白く読ませていただきました。
    大変お忙しいところ、新しい記事をありがとうございました。

  • ゆうこ says:

    Shouさん、こんばんは。
    ご無沙汰しております。

    コンフィデンスマン(←このシリーズめっちゃ好きなんですよね)プリンセス編を夜な夜なAmazonプライムで見てました!三浦春馬をみながらShouさんとどこか似てる・・声なの?顔なの?と思い見終え、携帯のLINEでコダワリblogが届いていたので、なんだかタイミングばっちりで驚きました。

    オリーブオイル、興味深いです!
    昨年の夏は、オリーブオイルでメイクを落としている時期がありました。

    万能なイメージがありましたが、
    お写真でみるような色味は初めてです。

    お味が気になりますね〜

    また、ひょっこりコメントさせて頂けたら嬉しいです。今後も楽しみにしています。

  • みゆき says:

    オリーブオイルと言うと、もこみちが出てくるのは間違いないですが、身体に良い物なんだろうなと思いながらもオイルだしな、、、と手を出さずにいました。

    また1つ新たな発見をさせて頂けて、オリーブオイルでパンを食べてみようと思います!

    久しぶりの記事、とても嬉しいです!!

    ありがとうございました。

  • YuTa says:

    オリーブ・オイルと聞くと、なんとなく1番身体に良い油であり、風味が心地よい程度の認識でした。

    他の油とは一線を画するモノだとは思っていましたが、まさかローマ帝国の三種の神器だったとは…

    そしてオリーブ・オイルをワイングラスに入れるという発想はなかったので驚きです。

    驚きはそれだけに留まらず、Shouさんの例えが秀逸すぎて、うさぎとレスラーのくだりは笑わずにはいられません。

    そんなこんなでShouさんの記事を拝見して、本来あるべきオリーブ・オイルの姿とは、うさぎのように純粋で、レスラーのような力強さを持つものなのかなと考察しました。

    これからまた記事投稿をしてくとの事で、楽しみにしております。